妄想サンバ

助走をつけた妄想がやがて暴走していく文章になる

ナイフを持って立ってた

 うい~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~っす。公的抑圧です。我が家にナイフはありません。

 しばらく放置してたはてなブログを更新しようとはてなブログにアクセスしたら下らない記事がならんでいやがったのでブチギレて壁を殴ったら壁だと思ってたのは俺の手首で手に持っていたのはナイフでした。やっぱり家にナイフあんじゃん。

 今日一日やったこと……特になし! 今日は本当に何もやっていない。珍しく午前中に起きたと思ったら母親が掃除するというので一時間ぐらい別の部屋でアイドルの動画を見ていた。その後朝食を食べて寝て起きたら四時だった。ふつうならだいたいこの時点で勉強を始めるが今日はどうにもやる気が出ません。

 ベランダに出て工場で働く下々の人間を眺めながら三ツ矢サイダーを飲んでいたら近所の小学生の楽しそうな声が聞こえてきて鬱病が加速、その後俺は無事屋上に出て飛び降り自殺を敢行。通算5回目の死亡に母も驚きを隠せない様子です。

 本も読めねえし勉強も出来ないかといって動画を見るのも飽きてきた俺はマジで何もできない能無し無能ゴミクズ人間です。誰か殺してください。

 おい精神科医!!!!!!!!!!!! てめえの出した薬全然効果ないじゃねえか!!!!!!!!!!!!!!!!!! 殺すぞ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

 明日は病院ですが病院代はありません。その後友達の家に行く予定です。23(水)はアイドルの握手会に向かいます。現地の皆さんよろしくお願いします。

 

イントロ

書いている小説のイントロです。 
 

 タバコを吸っていた。夏の蒸し暑い日だった。朝から頭の悪そうなアナウンサーが、女のくせに、社会問題について一丁前に意見を語っていた。ただのニュース原稿読み上げ機が。顔がいいからといって調子に乗るなあばずれ公共電波の売女が。
 卓袱台の上の小型テレビの電源を切り、窓から身を乗り出して、向かいの家の庭に寝転がる猫を眺めている。
 猫の方をじっと見ていると、しばらくしておれの視線に気が付いたのか、猫がおれの方を見た。だがすぐに視線を他所に移して二度とおれの顔を見ることはなかった。無愛想な猫だ。
 おれが話しかけてやっても何にもないように無視をする。次第におれも意固地になってきていつの間にか大声を出して猫を罵り始めた。
「おい、クソ猫」
「返事をしろ」
「ボケが」
「デブ猫」
「不細工な顔をこっちに見せてみろ」
 我ながらよくここまで恥じらいなく貧相な言葉で罵倒を繰り返せるなと感心する。しかし猫とおれの感性は違うのか、彼奴はおれを見ようとしない。おれはそれにもっと激しく腹が立って大声で怒鳴り続けていたら、その家の家主の耳の遠い婆が猫の代わりにおれを睨みつけてきた。
 おれの人生は、大体いつもこの通りだ。


怪文書/遺書

 死のうと思ったけど死ねそうにありません。このままみっともなく生き恥を晒し続けるのは癪に触るし、皆さんが俺のことを醜いと思っていることを俺は自覚しているのに、あたかもそれには気付いていないフリをするのも無理です。
 もう限界です。精神的に終わりを迎えました。本当に苦しいです。涙が出ます。一日中辛いです。本も読めません。インターネットの毒電波の中に沈んでいってしまいました。取り返しがつきません。
 辛いです。誰も助けてくれません。当然です。俺が死んでも誰も悲しまないと思います。死にたいです。死ねない自分に対してあまりにも情けなく思います。もう疲れました。人間であることに疲れました。
 皆さんが俺のことを嫌っていて本当に醜い生物だと思っていることに気づいています。皆さんのフィールドの中に俺という人格が確立されていなくて、玩具のように扱われています。最初はそのことに反発も覚えましたが、今はどうでもいいです。好きにしてください。
 僕は何も出来ない人間です。頭も悪く、意志も薄弱で、運動も出来ず容姿も悪い。家庭には恵まれず、性格もねじ曲がり、人からは嫌われ続けて、ついにどこにも居場所がなくなりました。
 自業自得です。でももう取り返しの付かないところまで来てしまいました。
 「まだ19歳なんだからこれからだよ!」そう言ってくれる心優しい人もいます。でももう限界です。何かも中途半端な年齢です、19というものは。僕のように人生の初期設定が最悪だと、19というのは取り返しの付かない絶妙なラインなんです。僕はそのラインを超えました。
 僕はプライドが高いです。だから自分が許せません。こんな怠惰な自分が許せません。そして、どうにかなるだろうと思っている自分も許せません。一切ない自分の能力を過剰に期待している自分が許せません。死ぬべきだと思います。生きる価値がありません。
「生きる価値のない人なんていないよ!」います。僕です。僕は本当に生きる価値がありません。親にも祖母にも迷惑をかけました。友人にも教師にも迷惑をかけました。そしてインターネットの人々にも迷惑をかけました。
 僕の発言で不愉快な思いをされた方々、お詫びします。最後は嘲笑って送ってやって下さい。
 僕の人生、いいことは何一つありませんでした。そして今後も一切ないでしょう。それでも、皆さんと出会えたことで救われたこともありました。ありがとうございました。感謝の言葉は尽きません。
 皆さん、本当にお世話になりました。
 お元気で。

夏だ!海だ! さらば東京! 千葉にグッナイ!

 うい〜っす。オレっち公的抑圧。みんな元気にしてますか? オレっちはまあ死にそうになりながらやってっけどよ。笑。
 というわけでタイトル通り先週の金曜日に海に行きました。幸いにも同級生が誘ってくれたムーブメントにタダ乗りした感じ。最初は行けないかもみたいな話が出てて「もしかして俺嫌われてんのか? ハブられてんのか?」と思ったけど違ったみたいです。
 当日は新小岩で待ち合わせすることになったのですが、新小岩とんでもない田舎ですね。23区を名乗れているのが奇跡みたいな感じで、ここが東京扱いで横浜が首都圏扱いなのはちょっと残念な感じもする。
 待ち合わせ場所まで行くとレンタカーに乗っている同級生と遭遇。なんかみんな待ち合わせ時間の40分前くらいにはいたっぽいので俺ももっと早く来ればよかった。実は楽しみすぎて眠れなかったんです。いつまでも少年のような心を持っていたいんで。
 待ち合わせ時間を過ぎても現れない同級生がいるので、LINEを確認してみたら「今起きた笑」とのこと。いや笑い事ちゃうやろと思ってたんですけど、なんか一人で現地に直接向かうらしいです。遠いし電車賃高いけど頑張ってね。
 で、いよいよレンタカー7人乗りで千葉県の海浜まで行くのだが、これまず車が狭いんスよ。俺はデブなんで一番後ろの座席に座ることになったけど、結構キツキツ。まあ道中はそんなこと気にならないくらい騒いだんですけども。
 その道中はと言えば、運転手がこれで4回目の運転というルーキーだったんで、事故の恐れが無きにしも非ず。ってなもんで車が動き出した途端に後方からオレが「事故れ! 人轢き殺せ! オラオラサラリーマン共轢かれたくなかったらそこをどけ!」と叫んでスタート。
 「秋葉原に行ってホコ天に突っ込む会でしたよね?」「ガラの悪いコンビニだな」と罵詈雑言の嵐(全て俺一人)。千葉県に入った時なんかは田舎過ぎて仰天しました。「おいここ日本か? ここ首都圏かよおい!」「コラ! こっから先は日本国憲法が通用しませんって看板立てとけや!」「文明がないんだよな」「まるで戦前」と誹謗中傷が飛び交います。
 大体田舎ってのは代わり映えのない山と空と時々民家なんで語ることがどんどんなくなっていくわけ。語ることがないんだから田舎なんだろうけども。
 で、地元住民を発見するといきなり窓を全開にして「ババア! コラ! おい田舎モン! 俺は都民だぞ! 東京様だぞ! ババア長生きしろよ!」と気分は毒蝮三太夫
 さて3時間近い道のりをかっ飛ばして海水浴場に到着。いきなり刺青フリーのお兄さんを見かけたりして怖い。草むらに立ち小便しようとしても風が邪魔でほとんど真横に飛んでいく。
 水着に着替えて砂浜へ。オレの肌は赤ちゃんスキンなので日焼け止めは何重にも何層にも渡って塗りたくる。化粧かよ!って同級生に突っ込まれながら顔にも塗りたくる。
 いよいよ海へ。ザブーンと行こうとしたが水がメチャクチャ冷たくて心臓止まりそうになったのでパス。とりあえず水辺でちゃぽちゃぽやっていたら友達に引っ張られて奥の方へ。奥というか沖というか、ロープギリギリでも結構浅い感じなので楽しめるかなと思ったら波が激しい。
 当日は台風も接近してて風も強いし何より波が高いことで悪評も高い千葉県の海を侮っていた。何度か波に呑まれる内に持ってきたゴーグルが意味を成さなくなってきて塩辛いものが顔にかかってこれがメチャクチャ痛い。なんか呑気にフリスビーやってる友人らをブン殴りたくなってくる。浮き輪に掴まりながら何度か波に乗った。
 全身の水分が抜けて干からびそうなので一旦浜辺へ。好みのチャンネーを何人か見かけるが全員子連れ。まあ夫との乱れまくり濃厚ファックを想像したらそれはそれでたまりませんが。
 海の家で何かを食おうとするものの全部高えんだよ。足元見やがってよ。どうせ学歴も何にもないんだからよ、今に見てろ、俺は、俺はビッグになってやるからよ。
 かき氷が良心的な価格だったので注文した。一緒にいたY君は焼きとうもろこし。暑いのにそんなん食べて大丈夫っすか? 
 先に買ってあったコーラをグビグビ飲みながらオーシャンビューを堪能して、イチゴシロップがあんま染みてないただの氷を食っているところに遅れてきた同級生が到着。すぐ脱いで水着になっていた。準備が早くて結構です。
 食べ終わってさっきフリスビー飛ばし合ってた連中のところまで行くと、砂浜で一人を埋めていた。なんか真っ当に青春してんなあ君ら。オッパイとかペニスとか作っちゃってさ。
 30分くらい砂浜のレジャーシートに座りながらチャンネーを探してると、同級生がサングラスを貸してくれた。偶然にもアロハシャツを着ていたので結構似合っていたらしい。母親、俺にサングラス似合わないとか言っておきながら、キッチリ似合ってんじゃねえか。
 もう一回海に入ると、また水が冷たくて死にそうだったけどなんとか肩まで浸かって耐えた。その後波の激しいゾーンに行って何度か溺れて死にそうになる。急に身長180cmの俺でも足が付かなくなるエリアが出現して大混乱に至った。そんなの知らんとばかりに荒れ狂う大波が俺を襲う! 
 というわけで2時間キッチリ楽しんで砂浜へもう一度上がると、今後の予定も考えると海から引き上げる丁度いい時間だった。残りの海で遊んでいる連中も呼び戻して駐車場へ。無料のシャワーで砂を洗い落として水着から着替えると、いざ日帰り温泉へ出発した。
 長くなりすぎたんで続きは次の更新で。
 

恐怖!戦慄の共依存〜それでも母は父が好き〜

 特に忙しい生活を送っているわけでもなく単純に書くモチベーションが湧かなかったためにブログの更新を一ヶ月近く放置していた。TwitterのBioにこのブログのURLを掲載しているのに一月も更新されていないというのはちょっと誠実ではないと感じたので更新する。
 だが、これといって書くものはないのでいつもの通り近況報告。
 前回の記事で触れたように祖母の家で居候生活を続けている。最初はここまで長引くとは思っていなかったが、今月末で三ヶ月目に突入する。
 祖母の家に長居しているのは単純に居心地がいいからで、その理由を考えてみると今までおれの生活に介入してきた両親の存在がないからだろう。祖母の家での自分は自然体の自分でいられているような気がする。今のところは祖母との関係も極めて良好だ。早朝、一緒に散歩をしたりしている。
 さて、父との喧嘩が原因で出て行ったということは母との関係は悪くはなく、度々父がいないタイミングを見計らって自宅に帰っている。まあ主にWiFiがあるから見たい動画を見るために帰っている訳だけれども。
 先日も家に帰ったところ、ちょうど母が居間でタバコを吸っていた。「ただいま」と言いながら、ちょっと違和感を覚えている自分に当惑していると、母がいきなり「お父さんのことなんだけど」と話を切り出してきた。
「お父さん、出て行くって」
「は?」
「出て行くから、この家で私とあんたの二人で暮らせってさ」
「はあ?」
「家賃はこれまで通り払ってくれるみたい」
「???????????」
 全く状況が掴めないまま話はどんどん加速していく。
「でもね、お父さんがこの家の家賃払えるとは思えないし、払ってくれるとは思えない」
 それは同感だ。親父が約束を守っているところをおれは見たことがない。
「じゃあどうすんの?」
「この家引き払おうと思って」
「??????????」
「引き払って、お母さんは叔母さんところで居候するから、あんたもしばらくおばあちゃんのところで生活して」
 現実的に考えたらそういう結論になるのかな。ちょっと冷静になって考えてみると、この話は喜ぶべき話じゃないのか。おれを悩ませてた元凶が一気に消え去ってくれることとなった。
「うん。いいんじゃない。賛成です」
「ああそ、それでねえ、お母さんも親戚とか知り合いに借金抱えてて、それを返さないといけないから、二人で暮らせんの、二年後くらいになっちゃうねえ」
 ……あの、二年後のオレ、さすがに働いているなり大学行ってるなりしてると思うんスけど?
 そのことを母に言ったら、え、あんた大学行く気あるのって言われた。学費は全部奨学金で払え・一人暮らしはさせない(しても仕送りは送らない)・大学生になったらバイトして生活費稼げの三重苦でおれを縛りつけて、大学生になる気を消したのはどこのどいつだよ。
「いいよ、二年後はさすがに一人暮らししてると思うし」
「あんた、家族のこと嫌いなの?」
「嫌いじゃなかったら家出しねえだろ」
「確かに」
 という訳で(どういう訳だよ)その日は久しぶりに実家で寝ることになった。父が朝方仕事から帰ってくる時に、母一人だと家にあげてしまって危険なので、おれが門番として立ちふさがることになった訳だ。
 息子が恋しかったのか、一つの布団で一緒に寝ようと言ってきた母を猛烈に拒絶して、眠りに就こうと思った……が、全然眠れなかったので動画見るなりアニメ見るなりで暇を潰していた。
 すると、朝の4時半に父が案の定帰ってきた(帰ってこないって言って出て行った人です)。自宅の外のいつも家族以外の人間から見えない場所に鍵を隠してあるので家の人間は鍵を持ち歩かない。だが、今回はその隠してある鍵を家の中に持ち込んで鍵をかけているため、外の人間は絶対に家に入ることができない。これでは十分ではないとおれはチェーンまでかけた。
 家の中に虚しく鳴り響くインターホン。ガチャ、ガチャガチャガチャ、ピンポーン、ピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンガチャガチャガチャ。
 お前、家に帰ってこないんじゃなかったのかよ。
 その次に父は母の携帯に電話をかけた。なるほど、母を説得してあげてもらおうってわけね。繰り返して済みませんが、「俺は出て行くから二人で住め」って言った人間の行動です。
「もしもし? あんた帰ってこないんじゃないの?」
 いいぞ、母が珍しく強気だ。おれがあっかんべーをドアに向けて決めていたその時……
「……いいよ、分かったよ」
 母は寝室から出てくると、真っ直ぐドアへと向かい開錠しようとした!
「!? 何やってんの!? 意味ないじゃん!?」
「しょーがないじゃん、なんか寮やってないんだって」
「いやいやいやいや、今ここで開けちゃダメだって、本気で怒らないと! そうやってズルズルと死んでいくつもりか!?」
 ここで死に繋がる誇大妄想はいかにも興奮したメンヘラといった具合。
「だって寮やってないんだもん! 今ここで騒がれたら面倒臭いし、意地になったらもっと面倒でしょ!」
「ダメだって、絶対ダメだよ!」
 居間で押し問答する二人。「おーいまだかー」と間抜けに叫ぶ父。
 結局押し切られて母は父を家の中にあげてしまった。呆然として立ち尽くすおれ。軽薄な笑みを浮かべながら、酒が入ったビニール袋を提げている父(これが最後ですが、父は「出て行く」と宣言しています)。
「お? 何やってんだ?」
「何やってんだはこっちのセリフだよ、今すぐ出て行け」
 息子が帰ってきたのか嬉しかったのか、最初おれを見た時はニタニタした口角をさらにぐっと上げていた父も表情が険しくなる。
「何だお前? 朝から」
「出て行くんじゃねえのか」
「ねえ、もういいのよ、やめてよ」
「よくない! 出て行くんじゃないのか? なんでここにいる? なんでごめんごめんなんて言いながら帰ってこれる? なんで平然と嘘がつけるんだよ!」
 しばしの沈黙。
「なあ、お前文句あんなら出て行けよ、お前みたいな息子いらねえよ」
「お前みたいな人間に必要とされる息子じゃなくてよかったよ」
「なんだ? 今誰に向かってお前って言った?」
「お前はお前だろ? それとも本名で言わなきゃ分からねえか?」
「てめえ、殺すぞ」
「ねえ、もうやめてよ」
 半分泣きかけている母親。そもそもの発端はあんたも親父に愛想尽かして親戚の家で一泊したからだろうが。という怒りがこみ上げてくる。
「殺すのか? じゃあ殺してみろよ。おれはいいぜ。ほら、必要ねえ息子を殺してみろ。首締めるか? 包丁で刺すか? 酒瓶で殴ってみるか? ほら、おれは何にもしねえから殺してみろよ」
「ねえ、もうやめてよ」
「てめえ……」
「殺してみろよ? ほら、殺すぞってことは殺す覚悟があるんだろ? ほら、殺してみろ。実の息子のこと殺せる勇気があるなら殺ってみろよ。まだか? まだか?」
「……」
「もういいってば!」
「よくねえよ、殺すぞって言ったんだから殺して貰わねえと。息子のこと出て行けって言っといて、一週間もしねえで帰ってこいなんて言いやがって、次はてめえが出て行くって言って、それで一日で帰ってきやがったよ。おう、せめて殺すって言ったことぐらいは守ってもらわねえと。ほら、殺さねえのか? 殺せよ。殺してみろ! おいチンピラ、殺してみろよ、棒立ちで無抵抗の人間も殺せねえのか? おれが手本見せてやろうか? なあ、なんとか言ったらどうなんだい、それとも殴るか? 殴って手元にあるもの全部投げ散らかして、全部台無しにするか? ずっとそうやってきたもんな、ほら、やってみりゃあいいじゃんかよ。どうした? やれってんだよ」
「もう向こう言ってくれ」
 吐き捨てるように父がそう言うと、母はおれを引っ張って自室に戻った。父と一緒に寝たくはないのか、おれの布団に潜り込んだ母を見て、無常感がふつふつと込み上げてきた。
 結局この母が全部悪いのだ。婚約破棄をしてまで昔の恋人を追わなければ、一度は出て行くと宣言したのに、ストーキングしてきた父を許さなければ、父の虐待に耐えなければ、出て行こうとした意志を挫かなければ、こんなことになっていなかったはずなんだ。
 悔しかった。なんでこんなことになってしまったんだろう。どうしておれはこんなところにいて、こんな惨めな人間を見ているんだろう。耐えられなかった。こんな両親と同じ空気を吸って生きることが苦しかった。親父流の言い方で書くと、こんな両親は必要がなかった。
 着ていたパジャマを脱ぎ捨てて、家まで着てきた服に着替えた。祖母に今から帰るから鍵を開けていてくれと伝えると(実は鍵を持ってくるのを失念していたのだ)、おれは自室を出た。
 居間では父が座布団の上に座りながら缶ビールを飲んでいた。つまみがなんだったかは思い出せない。父は、居間を抜けて再び家から出た息子に何も声をかけなかった。
 10年近くかけて言葉と暴力でじっくりと俺の精神を壊していった父が、殴りもせず、殺しもせず、ぼんやりとテレビ画面を見ていた。抜け殻みたいだった。「てめえ」と言った息子に殴る気力さえ持っていなかった。人を壊れるまで追い詰めた成れの果てがそれかよ。お前が壊した心を俺は一から組み立てようとしてるのに、お前は呆けるだけでいいのか。
 祖母の家につくまでに何度も涙を流し掛けたが、ついぞ頰に雫が垂れることもなく自宅にたどり着いた俺は、もう猛烈でダッシュしてベッドにスライディングして不貞寝した。
 久しぶりに悪夢を見た気がした。

野良猫と会話した

 親父と喧嘩した結果「出て行け!」と言われたので、それなら出て行くか、というノリで近くにあった祖母の家に居候することになった。帰るまでに何日かかるかは分からないが、まあしばらくは居候することになると思う。
 居候先ではパソコンもなければWiFiの環境もないので、動画も何も見られず暇をしている。まあ大抵はぼーっと天井や壁を見つめたり、音楽を聴いたりしている。本を読んだりとか、勉強したりとか、そういう段階までは回復してない。
 先日、家の前にあった自動販売機で飲み物を買おうとしたら三匹の野良猫を見かけた。自動販売機の前に立つおれをじーっと見つめている視線を感じたので振り返ったら三匹がこちらを見ていた。最近飲めるようになった缶コーヒーを手に、野良猫に語りかけた。
「はじめまして」
「……」
「なんだ、鳴かないのか」
「……」
「最近こっちに来たんだ。よろしく頼む」
「……」
「おれは精神科に通っていて、さっきも行ってきたところなんだけど、そこで尿酸値が高いって言われちゃって、うるせえよ、精神科は精神だけ診察してろとか思ったりして」
「……」
 こんな感じで会話(?)した。やってみると分かるけど野良猫との会話は楽しい。話を聞いてんだか聞いてないんだか判断できない表情でじっとこちらを見つめ、他の野良猫とじゃれあい、まだ話の途中なのに草むらに戻って行ってしまったり……。
 猫は見ているだけで癒される。猫と会話する以外はひたすら虚無な日常を過ごしているので、積極的に猫に話しかけたいと思う。

精神科に行った Season1 最終回

 先週の火曜日に精神科へ行き、そこで主治医と対面した。先月、発達障害の検査をしたので、おそらくは発達障害だと言われることを期待して、正確に言うと発達障害だと診断されることによって投薬されることを期待して精神科に向かった。

「変わりありませんか」

「はい、特にありません」

「誰かに見られているとか、嫌な噂をされている、というのは楽になったままですか」

「はあ、まあ、外にそもそも出てないので、けっこう楽になっています」

「そうですか」

「それよりも、辛い気持ちがずっと続いている感じですね」

「どういう感じですか?」

「自殺願望ですかね」

「はあ」

「あの……発達障害のテストの結果はどうだったんでしょうか?」

「コミュニケーションに少し難ありですね。コミュニケーション障害ですね」

「……」

「薬いりますか?」

「……」

「特にないみたいですね。じゃ、また何かあったら来てください」

 以上、終了。

 終始「え、ちょっと待ってくれよ」と思いながらハイスピード診察が終了してた。診察代、2500円也。はぁ~~~~~~~~~? 何の問題も解決されてねえ、何の問題も解決されないまま終わったよ。しかも2500円て、お前、それぼったくりじゃねえか、いい加減にしろ、やぶ医者!!!!!!!!!!

 大体辛い気持ちが続いているんだから薬出せや!!!!!! 変わりありませんよ!!! ずっと辛い気持ち続いているんだよ!!!!! 大体お前、俺がこの前行った時も「鬱病を疑ってるんですけど」って言ったら華麗にスルーしやがったな!?!?!?!? お前、どういう了見だコラ、ちょっとこじらせてる浪人生だからってナメてんのか、ボケが!!!!!!!!!!!!

 発達障害のテストも違うんだったらきっぱり言えや!!!!!!! コミュニケーション障害とかいう曖昧な症状伝えられたせいで「発達障害なの? 違うの?」って逆に不安になるだろうが!!!!!! 大体コミュニケーション障害て、お前、2ちゃんねらーか?????? 今やコミュ障とかネットでもそうそうお目にかかれない表現だわ、化石級か???? 脳髄が恐竜並しかないのかよ!?!?!?!?!?!?

 一番最初の診察も「神経衰弱かもね~」とか聞いたこと無い表現使ってきたからビビったんだわ!!!! 何にもないなら「考えすぎですよ」の一言ぐらい言えや、お前それでも医者か!?!?!?!?!?

 

 つーわけでこの医者はやめです。発達障害だと言われることを期待してたのに、結局すべてはおれの能力の低さに起因するものでした。ふつうに絶望的な気分です。精神科はみんなこんなもんなんでしょうか。初診の時に、看護師みたいな人から「初診は長く時間を取りますからね」と言われたのに三分ぐらいで終わったから怪しいとは思ってたんです。それとも本当に俺はなんにもなくてただたんに何の能力もない無能で底辺な生きる価値無し人間なんでしょうか。医者とのコミュニケーションに問題があるんでしょうか。生きたくありません。死ぬ勇気さえあれば今すぐにでも死ぬつもりです。

 

 そう思って、母親にそのことを話したら叔母が通っていたという精神科を紹介してもらえました。叔母も一時期鬱病だったそうです。比較的地元にあったのでそこに行こうと思います。そこでもダメだったら、本当にこの世とおさらばしたいと思います。

 

 ところでその医者、発達障害の診断はやってもらえなさそうな雰囲気です。