妄想サンバ

助走をつけた妄想がやがて暴走していく文章になる

精神科に行った

 なんか凄く穏やかなタイトルだが実はあんまり穏やかではない。

 精神科に行った。本当は2日に行く予定だったのだが、何かの手違いで予約が正規に取れていなかったからきょう行くことになった。母親に精神科に行きたいと言って金をもらった。父親に言ったら反対されるのは目に見えているからだ。

 精神科は地元の駅前にあるビルの5階にあった。ビルの中のエレベーターで香水が濃いお姉さんと一緒に5階まで向かうことになった。職員か、受付嬢か、まあそこら辺だろうと思っていたらまさかまさかの患者だったので驚いた。全くメンタルを患っているかのような素振りはなかった。むしろ「5階でいいんですか?」と聞かれた際に「え、あ。……はい」としか答えられなかったおれの方がよっぽどメンタルを患っているように見えるぞ。いや、患っているんだけどさ。

 で、医院の中に入ると、中は割りと清潔な感じだった。受付嬢はみんな可愛かった。あの人たちもメンタルを患ったりしないんだろうか? 

 椅子に座って待合室を見回すと、結構老人が多い気がした。認知症の治療も行っているようだし、平日のこの時間帯はやはりこういう老人のが多いのか……? と思い、待合室で何かネタになることもなさそうだな、とスマホを開いた瞬間に、中年の女性の声が聞こえてきた。いや、確かにあのくらいの年頃の女だと受付嬢と会話をしてもおかしくはないと思ったが、何しろ長い! 十分程度その場で話し続け、受付嬢ももううんざりしているのが声色で分かるが、それでもなお話し続けるババアの精神力はさすが精神科というかむしろ精神科でも願い下げと言うべきか。

 その後も、どう考えても還暦を超えている見た目の男性が「名前? 歳? えーと何だったけな……昭和50年生まれだったかな……」と言っているのにも吹き出しそうになった。あんた、それじゃあ40代に入ったばっかになるで。

 精神科で笑うというのはあってはならないことなのだが、明らかに不謹慎な場所だと余計笑いたくなってしまうのが人間の性。その後も、ぽっかりと口を開けひたすら天井の角を見つめ続けるサラリーマンや日本語かどうか怪しい言語で受付嬢に話し続ける男性、耳が遠いので受付嬢の言っていることを理解できず「え?」を連発する老婆など、濃いメンツが勢揃い。

 待合室にいる人間がすべて異常なので、配達のお姉さんまで尋常ならざるものに見えて困惑した。異常な人間しかいないような環境なので、なんだかだんだんおれの精神も異常な状態になったし、精神科って鬱病になりやすい環境にあると思う。この環境でも笑顔を振りまく受付嬢の集団、天使か? あ、途中で受付嬢の集団の中に入っていった事務スタッフみたいな男、何仲睦まじげに談笑してんだ。仕事中だぞ。

 で、しばらく笑いをこらえているとおれの名前が呼ばれたので部屋の中に入ると、医師ではなく臨床なんとかかんとかのうんたらって女の人が、おれに質問攻めをした。初回だということもあり、問診票にあったいくつかの項目で気になったことがあったんだろうか。小5の頃から精神に違和感はあったとか、何者かに監視されている気がする。家庭状況とか、精神科に行くことを何度か反対されたとかいろいろ話した。割りと親身に聞いてくれたと思う。

 初診なので時間をかけて診察したいのでしばらく待っていてくださいと言われ、そのまま20分くらい待った後、いよいよ院長の診察があった。

 しばらく時間がかかると言われたので何か院長からも言われるのかなあと思っていたら、臨床なんとかの人がやっていたことの焼き直しみたいな感じで、診察自体は五分くらいで終わった。「薬出しておきますから一週間後来てください」「はい」。タイピングがめっちゃ速かったのとマウスが手首に優しそうな形をしていることしか覚えていないが、ひょっとして別の作業をしながら診察してたのか?と思ってしまった。超スピードだった。

 で、終わった後はまた10分くらい待って会計。合計で4150円なり。え、五分に4150円なん?って思ったらまーいろいろ内訳があったんで、なんかいろいろと大変なんだろう。精神を病んだ人との対話なんて疲れるだろうししょうがないと思って払った。

 薬を貰うために薬局に行くと、また凄いワールドがあった。精神科にかよっててしかも薬が必要な患者の集団ならさもありなん、すごく陰鬱な雰囲気だった。通話禁止のポスターがありながら堂々と電話する韓国人とか、自分の住所も名前も分からない人がいたりとか。あと、薬を渡す時に「様」をつけて呼ぶのは逆上させないためなのか? めっちゃこそばゆかったぞ。

 薬も貰った。600円くらいかな。こちらは割りと常識的な値段で安心した。薬は統合失調症の治療にも他の治療にも使える薬みたい。3mgの半錠なので一番小さい分類だそうだ。詳しい人が言っているからそうなんだろ。多分。

 というわけで、総括としては、精神科、魔境。あとこれ地味に毎週通うのめんどくさくない? そりゃサボる人もいるよなー

おれってメンヘラサブカルなのか?

 この前同級生とカラオケに行って来た。おれを含めて六人で、男子四人女子二人というかたちだった。まあ女子二人はなんでも歌えるような感じで、男子はそれぞれ得意分野がありそうな感じ。男子の一人は女子の一人と付き合っており、なんか帰る時も一緒に帰っていったので危うく罵声を浴びせそうになった。友達を一人失うところだった。

 エロゲオタクがいきなりスピッツを歌い出してみんな合唱の流れとか、女の一人がワンピースの曲入れてきてまた合唱の流れとかで、どっちも知らない俺はかなり苦労した。

 で、歌う曲もないし……とずっとオーケンが絡んだ感じの曲を歌い、おもしろ歌詞にみんな笑ってくれたのでよかったのだが、Twitterにそのことを書き込んだら、有識者に「カラオケでオーケンを歌うのはメンヘラサブカルっぽいからマズイ」と言われた。

 一瞬「えっ?」って思ったが、確かに筋少とかオーケンってサブカルなイメージはあるし、そのファンは確かにメンヘラなイメージもあるなあ……と思ったんだが、おれってメンヘラサブカルなのか? 確かにサブカルっぽい趣味……というか、趣味のほとんどがサブカルなのでサブカルオタクと言われたらうーんそのとおりとならざるをえないが、何か悔しいので、クラシックとか純文学とか積極的に読むことにした。こんにちは。ハイカルチャー抑圧です。

 いやまあおれがメンヘラなのは確かにそうだし、サブカル厨っぽいのもそうなんだが、「あなたメンヘラサブカル厨ですよね」と言われると否定したくなる。俺はサブカルオタクじゃない!!!!!! 俺はただ俺が好きなものを好きと言っているだけなんだ!!!!!!! でもそれがサブカルだったら結果的にはサブカル厨ですよね? えっ、そうなのか? でも俺は、でも俺は、でも俺は、サブカルっぽいものも好きなんだーーーーーーーーーーーー 安心して、あなたは推理小説もSFも大好き。そこだけ抜き取ればすくなくともサブカルっぽくないわ。

 と思って安心していたら筋少が乱歩とかドグラ・マグラとかの影響も受けていることを思い出して死にかけた。なんだこれは……全てがおれをサブカルオタクにしようとしているみたいだ……。

 サブカル……。

 サブカルオタクってなんだ……。

 おれは一体誰なんだ……。

 教えてくれ、トマス・ピンチョンと思って重力の虹を久しぶりに開いたら話の流れ全く覚えてなくて死にました。やっぱりおれにはピンチョンしかいないな、と思いました。

おれの意志の弱さのルーツ

 今日、というかここ最近は年度末ということもあってまあまあ濃い体験をしていると思うんだが、まあ同級生達と横浜に行った話は明日に予定されている完全アウェイでのカラオケ大会と明後日に予定されている二浪の先輩との昼飯と一緒に書こうと思う。

 まず、自分の意志の弱さをみなさまに謝罪しなければいけない。ネット絶ち、2日も絶たずに失敗しました……。いや、言い訳をさせてほしい。そもそも現代人がインターネット絶ちをするのは不可能。みんな、見渡す限りスマートフォンを通じてインターネットにアクセスしているじゃん。さあみなさまも顔を上げて周りを見渡して欲しい。電車の中、おれのほかにいるのは……訳の分からない会話をして勝手に陶酔しているカップル、意味不明な言語を叫び散らす中東人、ヨドバシカメラの袋を両手に提げている成金の中国人、あとはだいたい死んだ目をしているサラリーマン……って、これじゃあスマートフォンを弄っているのは俺だけか? あ、時間が夜中だから仕方ない。

 でも実際、今日とか昨日とか電車に乗ってて思ったのはみんながみんなスマートフォンをいじりすぎってこと。アニメ監督が「電車に乗っててスマートフォンを弄っているのはもったいない」って言ってたけど、こうもみんながスマートフォンを弄っていると、人間観察の意味がなくないか? 総合芸術のアニメーションとしては、やはりスマートフォンを弄る人というのも大量にクロッキーするべきなんでしょうか。

 こんな話をしている場合ではない。とにかく、Twitterに浮上する回数を減らす……という、なんとも情けない形での妥協案にみなさんにも妥協してもらうしかない。ま、さっそうときえる可能性はあるということは常に言っておく。

 で、翻って今日。まずヒトカラにいった。おれは常々ロックバンドのボーカルとしてデビューすることを狙っている……わけではなく、たんに明日予定されているドキドキ☆女子もいるよ!完全アウェイ空間でのカラオケ大会!にて、まあアニソンばっか歌うわけにもいかないし、最近聴き始めてハマっている筋肉少女帯の好きな歌の練習にでも行くか……みたいなノリで行った。

 最初はなぜか緊張して声も出ないし抑揚も特に無い歌声を披露しないが、一度「踊る赤ちゃん人間」を歌った後に絶望先生を歌うとだんだんノッてきて、演者はおれ、観客もおれ、みたいに一人ライブハウス状態になっていた。まあ、意志が弱いせいで、部屋の前に人が通ると、そこだけトーンが静かになる……ってか、誰でも「ダメ人間の王国を作ろう」なんて歌ってたら、恥ずかしくなるんじゃないか?

 個人的な感想だけど、筋肉少女帯の中だと「香菜、頭をよくしてあげよう」が歌い辛いと思う。各氏はどう思う?

 まあその後はふつうにゲーセンに行った。最近音ゲーが楽しくなくなってきたので、そろそろ引退かなと思っている。かんぜんに惰性でやっているし、惰性でやるにはあまりにもコストが高すぎる趣味だろ。まあ、意志が弱いんで続けるんですけどね。

 そのあと、ブックオフ大槻ケンヂのエッセイを買った。まあ内容は面白いんだけど、おどろいたのは彼の文体の親和性がおれと高いこと。というわけでほのかに大槻ケンヂの香りがする文体のブログだなと思ったあなた、正解です。

 確かにおれは誰かに滅茶苦茶に影響されやすい方だけど、それよりも大槻ケンヂの文体って結構おれと似ているところあるのではないか? みたいな。でも誰かに影響されて生きてきたおれがひとりでに辿り着くわけないし、この文体に至った原因があるはずだが……と思って本棚を見てみたら、「空想科学読本」が目に入ってきた。

 原因、見つかりました。

 小学生のおれが、まだブルーバックスとか読んだりそこからもうちょっとレベルが高い物理系の啓蒙書を呼んでいて科学少年を気取り、小学校の担任から「天才」「神童」と賞賛されていたころハマっていた本が「空想科学読本」なのである。いや、まあ内容も糞面白いし、未だにウルトラマンのウルトラ水流の下りなどは思い出し笑いをしてしまうくらいには鮮明に覚えているんだが、何よりも文体に影響を受けたな……。

 なにせ当時読んでた本らしい本がこれとブルーバックスで、ブルーバックスの文体はというと教科書と一般書の中間くらいをふらつく感じだし、一般書よりにしようと思ったらどうしてもくだけた形にならざるを得ない。というわけでおれのルーツは、世間のことを余りしらない理系がふざけちゃった感じ、という各方面からお叱りを受ける肝心結論でいいか?

 まあ、理系人間を語るにはあまりにも意志薄弱で、それはまあ最近でも文系行ったり理系行ったりしているこのふらつき具合からも想像出来ると思うんですが。

 

夢・開幕戦

 つーわけでインターネット断ち生活二日目。早くもTwitterをやりたい、インターネットを覗きたいという中毒の禁断症状が現れたのでずっと本を読んでいた。そろそろ読み終わる。
 6時からはプロ野球の開幕戦。親父と一緒にテレビ中継を見ることになったのだが、親父は熱狂的なジャイアンツファン(ジャイアンツファンでなければプロ野球ファンに非ずというほど)でおれは熱狂的なスワローズファン。開幕戦前からもうお互いにお互いを口汚く罵っており、方やジャイアンツの選手を貶そうものならもう片方はそれ以上の勢いで相手を罵倒するという無限に続く罵倒の応酬はまさしくプロ野球を代理とした父と子の戦争である。
 運悪く食事しながらだったのでムードは最悪。母がなんとか取り繕いながら9時まで視聴した。
 ヤクルトが3-1で負けたので、はっきり言ってブチギレ。なんであんな負け方すっかなあ……父親が煽ってきてとにかくウザいのでさっさと自室に戻った。
 この後の今日の予定……筋肉少女帯アルバムを聴きながら寝るか読書の続き。最近変に疲れて困る。もう眠い。
 ところで今日は変な夢を見た。
 まあ俺は毎日変な夢を見ているけど、今日はとりわけ変だった。
 高校の数学教師(俺はそんなに好きじゃなかったし向こうも俺のことを好きじゃなかったようだが)が出てきて、何故か俺の家で料理をしながら、いきなり問題を出してくる。
 俺の他にも何人か生徒がいたようだが、顔は覚えてない。
 で、その問題ももう覚えてないんだが、何故か俺はそこで「原因があって結果が出てくるのではなく、結果があって初めて原因があることが分かる」というようなことを言い、教師もそれに「概ね正しいが、そこに辿り着くまでの道筋を提示しなければいけない」みたいなことを言ってきて、うんうん悩むという夢だった。
 ある優秀な生徒(なぜか夢の中の俺はそいつを優秀だと思っていた。まあ誰だかは分からんのだけど)が「ニュートンの第1変制」みたいなことを口走って、俺が「それだ!」となったところで目を覚ました。
 そのニュートンの第1変制とやら、どうやらニュートンの運動の法則は無条件に成立するみたいな内容らしく、冷静に考えてみればそんな法則じみたものはあるわけも無く、完全な妄想なのだが、何故か俺はそれを真理だと確信していた。
 まあ実際にあったとしてもそっから「原因があって結果が出てくるのではなく、結果があって初めて原因があることが分かる」までどうやって辿り着くかは不明だが。
 つーかこの原因〜って俺が慶應の小論文で書いたことじゃん。落ちた大学の問題と解答をいつまでも覚えているの気持ち悪いな……
 タモリさん、これってトリビアになりませんか?

インターネットのない日

 今日初めてパソコンを起動した。小説とか書いているはずだからパソコンなんてインターネット使わなくても起動するだろうと思ってたけどどうやら俺のパソコンはインターネット専用機のようだった。

 昨日、というか今日の深夜に突発的にインターネットから自分を遠ざける実験をしてみることにした。使っていいインターネット上のサービスはこのブログと読書メーターのみ。端的にアウトプットが出来るものだけを選んだ。Twitterとかもミニブログだしアウトプットが出来るツールだけど、ここ最近のおれのTwitterの使い方等を鑑みると、一度ここでこういうものから遠ざかった方がいいという結論に達した。

 だから2ちゃんねるも見ていない。まあもともと2ちゃんねるは見なくなっていたのでそんなに弊害はない。が、やっぱりTwitterが出来ないというのは想像以上に苦しいことがわかった。ついつい見ようとしてしまうし、書き込もうとしてしまう。逆に、普段からTwitterベースの思考になっていたということだから、矯正できる機会があってよかったと思う。

 最近はTwitterでのウケを狙って逆に滑って変に考え込むというシークエンスがずっと続いていたので、ここらへんが潮時なんじゃないか。気が向いたら浮上するかもしれないけど、多分浮上頻度は激減するだろう。

 寝起き、Twitterを何気なく見てしまった。すぐに閉じたがやっぱりスマートフォンがあるとマズイ。家にいるのにわざわざスマートフォンを隠して生活した。これからは電話と音楽再生だけが目的の端末になるだろう。

 一日目はあまり快適とは言えないが、メリットもあった。インターネットに時間を吸われない分、暇な時間が増えた。朝起きてダラダラとカップラーメン食って高校野球を見てワイドショーやアニメなどを見ても時間が余るから本を読んでしまった。これが文化的な生活って奴か? もともと無職だから時間は腐るほどにあるしな……

 ノーインターネットだから家族だんらんが増えたとか、そういうのは一切ない。元々家族仲がいいように見えて悪いのがうちの特徴だと思っているし、ここ最近は親父も真面目に働き始めたようなので、顔を合わせることもないからだ。俺も図書館にいたりとか、秋葉原にいたりとか、無職なのに外にいることの方が多いしな。

 だけど一応LINEは使っている。まあ27日に同級生と遊びに行くのでその連絡の交換に使っているだけなので、27日を過ぎたら起動もしなくなるだろう。

 というわけで浮上しなくなっても死んだ訳じゃないので心配しないでくれ。まあもともと心配している人間もいないだろうけど。

 殺す! 殺す! お前を殺す! 親を殺す! みんな殺す! みんな死ね!

 

 

 

 

 

 死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね

 

 

 

 

 

 頭の中に得体のしれない何かが入ってくる感覚がある。よく怪電波が云々とかあるけど、それに似た何か。常時俺の思考を妨げる。おれが何かを考えようと思ってもノイズがかかってうまくいかない。助けてくれ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 死ぬ。

この支配からの

 掠めた単位で卒業す~ 進学先もわからぬまま 暗い人生闇の中へ~

 というわけで卒業した。三年間クソみたいな高校に通っていたので特に何の感慨もない。

 うちの高校の卒業式は毎回派手だったのだが、今年からは標準服(制服のようなもの)を着用して参加するようにとの通達があった。それまでは袴を着ている生徒が多かった。

 高校生程度の貫禄で袴を着られてもこちらとしては噴飯物でしかないんだが、そこは我がU高校、頭のネジが吹っ飛んでそのままトリプルアクセルしているような連中なので、通達については完全に無視を決め込み、本土に舞い降りたダグラス・マッカーサーのような衝撃を周囲に与えながら袴姿のまま乱入してきた。

 よりによって自分がいたクラスは学年主任が担任をしていたのだが、その学年主任の横に並んで立っている女子はバリバリの袴姿。昭和天皇マッカーサーが並んだ写真の現代版はおそらくこんな感じになると思われる。

 肝心の卒業式だが、寒そうなところで吹奏楽部の部員が大してうまくない演奏を延々と披露しているところに同情し早くも涙を流しかけた。国歌斉唱はそもそも君が代歌いづらいし風邪気味だったので自重した。隣の韓国人の女の子が歌っていたのは驚いた。起立していない教師を探そうとしたが、生徒が邪魔で見えなかった。

 卒業証書授与。生徒数が多いので一人ひとりが壇上に上がるのではなく代表者が貰い受けるという手法。担任から名前を呼ばれて「はい」と返事をするだけだ。途中誰か「いいえ」と言わないものなのかなと思っていたがそんなこともない。

 校長の話。よく覚えてない。なんか、挑戦しましょうみたいな話だった気がする。途中涙ぐんだのか声が震えていたが、そもそも三年生になってからやってきた校長に大して世話になっているわけでもないし、泣かれてもそれはそれで困るなあという感じ。

 来賓の話。PTAの人の話はかなり短かった。「ありがとう」の一言で済まされたと思う。もう一人の来賓は同窓会の会長の話だったんだが、まず歩くのが遅いハンプティ・ダンプティみたいな体型している爺さんだったのが気がかりで、話している途中で次の言葉を忘れ、虚しく息の音がマイクに乗って体育館に響いている。これはシュールなコントかなと思っていると、思い出したように話し出す……というのを繰り返していた。生きているのか死んでいるのかよくわからなかったが、話してたんで多分生きていると思う。

 その後は校歌斉唱。歌詞を覚えてなかったので歌わなかった。そして退場。退場する際に今までありがとうございましたと担任に挨拶しようと男子に提案されたが、オレは特にありがとうございましたとも思ってないので頭も下げずに無視した。

 写真撮影。女子高生の自撮りにただひたすらピースサインだけを残していった。数年後のアンビリーバボーでもし奇っ怪なピースサインとして紹介されていたらオレだと思って欲しい。

 というわけで卒業式は終わった。といっても俺は浪人なのでもう一年プラスされるわけだが……。